借金滞納により一括返済請求を受けた場合の正しい対処法

代表弁護士 伊藤 一星 (いとう いっせい)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号49525)
保有資格 / 弁護士

多額の借金を抱えてしまい、返済期日までに返済できていないうちに、消費者金融やローン会社等債権者から、借金の一括返済をするよう求められてしまうことがあります。

一括返済請求を受けたものの、それに応じることができないような経済状態の場合、一括返済請求を無視してしまうとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

また、どのような対応をすることがよいのでしょうか。

貸金業者からの一括返済請求はどのようなときにくる?

まず、貸金業者から一括返済請求をされるのはどういった場合でしょうか。

例えば、以下のように、分割払いを数か月滞納させ、滞納についての貸金業者からの督促にも応じないような場合です。分割払いの場合、毎月の返済期日が、貸金契約上定められています。

例えば、毎月26日に10万円ずつ、3年間かけて返済するなどです。

この返済期日に遅れてしまうと、まずは、数日後には電話などで、貸金業者から支払が遅れている旨の連絡があります。

このような連絡を無視したり誠実な対応をしなかったりして、滞納状態が2〜3ヶ月続いた場合、貸金業者から内容証明郵便で借金の一括返済の請求がなされることがあります。

銀行系のカードローンを組んでいる場合、銀行と契約している保証会社である消費者金融や信販会社からの連絡であることも多いです。

そして、一括返済請求がなされたタイミングで、信用情報に滞納の事故情報が掲載され、いわゆる「ブラックリスト」に掲載されることになります。ブラックリストに掲載されている間は、新規にローンを組んだり借金をしたりすることができなくなります。

一括返済請求をされる理由

貸金業者はどのような根拠で一括返済請求をするのでしょうか。一括返済請求の根拠は、債務者が、貸金契約上の「期限の利益」を喪失したからです。

期限の利益とは、債務者は、定められた返済期日までは借金を返さないでよいという利益です。債務者は、この期限の利益を有しているために、数千万円の住宅ローンを組んだとしても、数十年後の返済期日まで満額を返済する義務を負わず、月々定額の返済をしていくことができます。

貸金契約を締結するときに、債権者としては、途中で返済してもらえなくなるリスクを低減するために、契約書上に「期限の利益喪失条項」を定めておくことが通常です。

期限の利益喪失条項に該当するような事象が発生すると、債務者は期限の利益を喪失し、満額を返済する義務を負うことになります。

期限の利益喪失条項で定められている事項は、分割払いの返済が遅れたときをはじめ、債務整理をしたとき、不渡り手形をだしたとき、差押をされたとき、債務者が死亡したときなどが一般的です。

一括返済請求を無視した場合のリスク

一括返還請求を受けても支払が難しいからといって、放置したり無視したりすることは避けましょう。

理由としては、放置したり無視したりすると、以下のようなデメリットがあるからです。

利息が増える

借金の利息は返済日の翌日から毎日加算されます。

そのため、一括返還請求を放置している間も、利息は毎日増えていき、返済しなくてはならない総額が増えていくこととなります。

法的措置をとられるリスクがある

貸金業者は一括請求の内容証明をしても反応がない場合には回収のために法的手段をとる可能性があります。

まず、支払督促といって、貸金業者が裁判所に申し立てることによって、裁判所から一括支払いを促す書面を債務者に対して発送されることがあります。

債務者が、受け取り後2週間以内に異議申し立てをしなければ、裁判所は支払督促に仮執行宣言をつけます。仮執行宣言を得た場合、債権者は債務者の財産に強制執行をかけることができるようになります。

また、貸金業者が貸金の返還を求めて民事訴訟を提起した場合には、裁判所から訴状が送達されることとなります。民事訴訟の結果として敗訴した場合も、同様に強制執行がかけられることとなります。

強制執行がかけられると自宅などの不動産、預貯金、給与債権、自動車などの財産が差し押さえられ、競売にかけられることとなります。

また、法的手続きには対応コストや弁護士費用もかかりますので、債務者側にも大きな負担がかかります。

一括返済請求をされた時に取るべき方法

それでは、一括返還請求を受けた時にとるべき対応はどのようなものがあるでしょうか。

金融機関と交渉する

一括返済請求をされた場合でも、金融機関と交渉することにより、分割払いに戻してもらえる可能性があります。

金融機関としても、資金繰りに困っている債務者が一括返済できる可能性は低い場合には、分割払いで今後滞納しないようにしてくれれば、分割払いに戻すことに合意してくれることがあります。

金融機関からこのような合意をとりつけるためにも、一括返済請求がされたらなるべく早めに金融機関に連絡をとり相談をしましょう。

返済ができないからといって一括返済請求の連絡を無視したり、一括返済するために慌ててまた別の金融機関から借金をしたりせず、落ち着いて対応することをお勧めします。

債務整理を検討する

金融機関が分割払いに戻すことに応じてくれず一括払いでは払うことができない場合、分割払いに戻したとしても借金が重なり、返済できる見込みもない場合は、弁護士に相談して債務整理を検討しましょう。

債務整理と一口にいっても、自己破産手続、個人再生、任意整理など方法はいくつかあります。現在収入がなく返済の見込みを全く立てられない場合は自己破産、分割払いにしたり減額したりすれば返済していくことができそうな場合は個人再生や任意再生によって借金問題を解決できる可能性があります。

債務整理問題に詳しい弁護士に相談して、ご自身の状況にもっとも適した債務整理の方法をアドバイスしてもらいましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。

貸金業者から一括返還請求をされたときに取るべき対応法についてご説明しました。ご参考になれば幸いです。

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