債務整理を考え始めるべきタイミングとは?

代表弁護士 伊藤 一星 (いとう いっせい)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号49525)
保有資格 / 弁護士

借金が重なってきて、返済するめどが立たなくなってきた場合、多くの人は解決策として債務整理を選択肢として意識しはじめることでしょう。

債務整理をすることにより借金問題を解決したり問題を軽減したりするメリットがある一方、法的な手続きに踏み出すことにやはりためらいを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

それでは、債務整理をすることについて本格的に検討を始めるべき適切なタイミングはいつになるでしょうか。

債務整理とは

債務整理には主に3つの方法があります。

一つ目は「任意整理」といって、債権者と直接交渉・合意することによって毎月の返済額の減額や、分割払いによって長期間の返済を認めてもらう方法です。

二つ目は、裁判所に申し立てをしたうえで、債務額を大幅に減額したうえで、3〜5年間かけて返済する「個人再生」です。

三つ目は同じく裁判所に申し立てを行い、免責許可を受けることにより全額債務を免除してもらう自己破産があります。

債務整理のタイミングが遅れた場合のリスク

遅延損害金が重なる

債務整理をいつはじめるかについて、法律上の定めはありません。

しかしながら、自力で借金問題に対処することが難しくなった場合は、早期に債務整理をはじめたほうがよいといえるでしょう。債務整理が遅れることによって、以下のように、様々なデメリットが発生することが考えられるためです。

借金には返済期日が定められていますが、通常の貸金契約では、返済期日に1日でも延滞すると、遅延損害金が発生するという契約内容になっています。

債務整理をしないままに、借金をずるずると返せないでいると、返済予定日の翌日から毎日遅延損害金が毎日発生するため、時間がたつほどに返済しなければならない金額が増えていくのです。

なお、通常は遅延損害金は、残債 × 遅延損害金年利率(貸金業者によって異なります。)÷ 365日 × 滞納日数の計算式で算出されます。

ブラックリストや強制執行のリスク

延滞日数が数カ月に及ぶと、信用情報機関に事故情報として登録され、いわゆる後はブラックリストと掲載されることになりますので、新たにクレジットカードの作成やローンをくむこともできなくなります。

また、通常返済期日からの滞納機関が3か月を経過すると、金融機関から期限の利益喪失条項を行使され、これまで分割払いで支払っていた借金について、残額を一括返済することを求められることもあります。

借金問題で苦しまれている場合に、多額のお金を一括返済する資力は残っていないことがほとんどだと思われますので、一括返済は難しいことが多いでしょう。

返済ができないと、金融機関から給与や住宅が差し押さえられてしまい、会社や家族にも知られてしまうことにもなります。

過払い金が取り戻せなくなる

債務整理の経過で、貸金業者に貸金業法の規制を超えて支払っていた過払い金があったことが発覚し、これを取り戻すことができる場合もあります。債務整理をためらったために、取り戻せた過払い金を取り戻せなくなったという結果となると非常にもったいないともいえます。

債務整理を考え始めるべきタイミング

それでは、具体的に債務整理を考え始めるべきタイミングの目安はどのように判断すればよいでしょうか。

毎月の返済額が月収の3分の1を超えている

一つの数字的な基準として、毎月の借金の返済額が、月収の3分の1を超えている場合、債務整理を考えたほうがよいタイミングとなります。

貸付を行う金融機関に適用される貸金業法上「総量規制」というものが決まっており、貸金業者が個人に対して行う貸付は、原則、借入をする個人の年収の3分の1までを上限とされています。借金の割合が収入と比べて多いと、通常生活がひっ迫していくことが考えられるためです。

月々の返済額がこの総量規制を上回っている場合には、借金が生活を圧迫している状態であるため、債務整理を検討する必要があるといえるでしょう。

大幅に収入がダウンしたり働けなくなったりした場合

借金が返せなくなってしまう事情の一つとして、借入時には無理のない返済計画だったが、事後的に収入がダウンしたり失職してしまったりしたために返済ができなくなったということもあります。

災害等の不可抗力、職場の経営悪化、体調不良などによって収入が途絶えてしまうことは誰にもありえるでしょう。こうした場合には、定期的な収入では返済が間に合わない事態が想定されるので、債務整理を検討する必要があるでしょう。

借入先が複数存在する場合や毎月の返済でも原本が返済できていない場合

借金を返すために、他の金融機関から借金をしている場合、それぞれの利息が重なっていくので、借金の総額が膨らんでいき、借金を返していくことがだんだんむずかしくなっていくような事態も考えられます。

また、借金額が多いため、毎月の返済でも利子分のみしか返済できておらず元本が減っていないような場合も、返済の可能性について検討していくべきといえるでしょう。

債務整理をするべきか悩んだらまずは弁護士に相談してみよう

ご自身の状況を検討されて債務整理を考え始めようかと思い始めたら、まずは債務整理に詳しい弁護士に一度相談してみてはいかがでしょうか。

借金問題で悩まれているときに弁護士相談料がかかるのではと不安に思われる方もいらっしゃると思いますが、初回は法律相談無料としている事務所も数多く存在します。

また、日本司法支援センター(通称:法テラス)でも、経済状態によっては、無料法律相談や弁護士費用の立替えなどを受けることができます。

同じ債務整理でも、その方の資力や収入、借金の状況、大切にしたいことなど個別の事情によって、任意整理、個人再生、自己破産など最適な方法は異なります。債務整理のタイミングとともに、ご自身にあった債務整理の方法も相談してみることをおすすめします。

最後に

いかがでしたでしょうか。

債務整理を考え始めるべきタイミングについてご説明してきました。ご参考になれば幸いです。

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