自己破産手続きの流れ 期間や必要書類などを解説
これから自己破産を検討されている方は、手続きの流れや期間などを事前に知りたいと思われていることでしょう。
この記事では、自己破産手続きの流れや、必要期間・書類などについて概要をご説明します。
自己破産手続きには2種類ある
自己破産には、債務者の方の状況によって「同時廃止」と「少額管財」の2種類があります。
どちらの手続きとなるかによって、手続きの流れが変わりますので、それぞれについてご説明します。
同時廃止とは
同時廃止は、申し立て人に①大きな財産(具体的には、33万円以上の現金、20万円以上に相当する現金以外の資産)がなく、②ギャンブルや浪費癖など破産管財人が免責決定をすることが適当かどうかの調査をする必要性がないときに採用される比較的簡便な手続きになります。
裁判所による破産手続開始決定と同時に破産手続が終了し、その後大きな時間を空けずに免責手続となりますので、債務者の状況による個人差は多少あるものの、おおむね申し立てから3~4ヵ月で終了します。
少額管財とは
少額管財は、同時廃止とは逆に、申し立て人に①大きな財産(具体的には、33万円以上の現金、20万円以上に相当する現金以外の資産)がある場合や、②ギャンブルや浪費癖など免責不許可事由に該当しそうな事情がある場合で、裁判所から選ばれた破産管財人が、財産状況や免責不許可事由に該当するかどうか調査をし、それを踏まえての債権者への配当や免責決定が必要となる手続です。
同時廃止に比べると期間が長くなり、平均的には申し立てから手続き終了までに6ヵ月程度はかかります。
同時廃止の手続きの流れ
弁護士への委任
まず、自己破産手続きを依頼する弁護士と債務者の方の間で、委任契約を締結します。
なお、受任した弁護士は、債務者に対して受任通知(弁護士介入通知ともいいます。) に発送します。
受任通知を受領した後は、貸金業法上の定めにより債権者は債務者に対して、正当な理由なく直接の取り立てができなくなります。
申し立て書類の準備
自己破産のために裁判所に提出する必要書類を準備します。
債務者自ら揃える必要がある資料もありますので、弁護士の指示にしたがって準備をすすめましょう。
自己破産の申し立て書類には、債務者の陳述書、債権者の一覧表、住民票(本籍地の記載があるもの)や戸籍謄本などの本人確認書類のほか、債務者の資産や収入を示す諸資料を提出する必要があります。
たとえば、家計の状況の資料、給与明細書の写し、源泉徴収票の写し、課税証明書、預金通帳のコピー、自宅を借りている場合の賃貸契約書の写し、所有不動産についての不動産登記簿謄本、退職金を証明する書面、車検証の写しや自動車の査定書、加入している保険証券の写しや解約返戻金証明書、年金等の受給証明書などがあげられます。
取り寄せなどの準備には、余裕をもって1か月程度みておきましょう。
申立て、破産手続き開始、破産手続廃止決定
自己破産の申し立てをすると、裁判官との即日面接があり、少額管財手続きになるか同時廃止手続きになるかが決められます。
また、債務者審尋といって、裁判官が破産手続き開始の原因があるか確認するために債務者自身にヒアリングをすることもあります。
この後、裁判所により破産手続開始決定がなされます。
同時廃止の場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定もされます。
免責審尋、免責決定
裁判所から免責を行うかどうかの判断のための免責審尋というヒアリングが行われ、免責の許可あるいは不許可の決定がでます。
免責許可が確定すると、晴れて債務者の債務は免除されることとなります。
管財手続きの場合の流れ
弁護士との委任契約、申し立て書類の準備、自己破産申し立てまでの流れは、同時廃止と同じですので説明を割愛します。
以下、自己破産の申し立てを行った後、裁判所から管財手続きに振り分けられた場合の手続きの流れを解説します。
管財人の調査
管財事件の場合、弁護士などの第三者が破産管財人として裁判所から専任されます。
管財人は、債務者の資産状況や免責不許可事由がないかということの調査をします。
調査期間中に、管財人と債務者の面接も行われ、借金の内容や時期、理由や債務者の収入や資産状況、免責の問題点についてヒアリングがなされますので、事実を率直に回答しましょう。
債権者集会
管財人調査の後、裁判官、破産管財人、債務者が出席する債権者集会が行われます。
債権集会で破産管財人が調査報告を行います。
調査が完了している場合、債務者に債権者に配当する資産があるときはその配当手続きに入り、配当できる資産がない場合は異時廃止といって手続きが終了します。
免責審尋、免責決定
同時廃止の場合と同様、裁判所による免責審尋と免責の許可不許可についての決定が行われます。
最後に
いかがでしたでしょうか。
同時破産の2つの種類「同時廃止」と「管財事件」について、それぞれ手続きの流れをご理解いただければ幸いです。
破産管財人の調査や債権者集会とその後の債権者への配当手続きがない分、同時廃止手続きのほうが手続きは簡便かつ早く終了します。