2回目の自己破産は認められるのか?成立に必要な要件について

代表弁護士 伊藤 一星 (いとう いっせい)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号49525)
保有資格 / 弁護士

借金がかさんでしまい返済できる見込みがなくなってしまった場合、債務者の救済手段として、破産法のもと、自己破産の申し立てをすることができます。

それでは、一度自己破産をして債務整理をしたにもかかわらず、再び債務超過になり返済が不可能になってしまった場合、2回目の自己破産は認められるのでしょうか。この記事では2回目の自己破産についてご説明します。

2度目の自己破産はできるのか

自己破産をして債務を整理したものの、致し方のない事情により再び多額の借金を抱えてしまうこともあるでしょう。

結論から言うと、一定の要件のもとで、2回目の自己破産をすることができることがあります。

自己破産の回数について、法律上上限回数はないので、免責許可が裁判所に認められれば、複数回の自己破産ができる可能性はあります。

2度目の自己破産が認められるための要件

前回の免責許可から7年経過していることが原則必要

破産法252条1項10号により、2回目の自己破産をするにあたっては、1回目の免責許可から7年が経過していることが原則として必要となります。3回目以降についても同様となります。

前回の自己破産から7年以内の申し立てがあった場合は、原則として、裁判所から免責不許可事由があると判断されてしまいます。

ただし、例外として、裁判所は裁量によって、たとえ7年が経過する前の申し立てであっても、やむを得ない事情があると認める場合は免責許可をすることがあります。これを裁量免責といいます。

やむを得ない事情として考慮してもらえる可能性がある事情の一例としては、債務者が病気になり生活に困窮し借金がかえせなくなった、リストラにあい努力しても職に就けないため収入がとだえたなどです。

自己破産は債務者救済制度であるため、免責事由に該当したとしても、このような場合は裁判所の裁量免責で救済される可能性があります。

前回とは異なる免責理由であること

2回目の自己破産についても、1回目の自己破産手続きと同様、債務者についての審査が行われますが、その際裁判所に伝える自己破産の理由は、免責許可を与えるのにふさわしいと思ってもらえる必要があります。

具体的には、1回目の自己破産理由と同じ理由だとすると、債務者に反省や自助努力がみられないとして、免責許可がおりない可能性が高くなります。

そのため、1回目の自己破産にくらべて、2回目以降の自己破産理由はハードルが高くなると考えたほうが良いでしょう。

また、債務超過の理由が、以下のような場合、免責不許可事由があるとして、自己破産が認められないことがあります。

  • ギャンブルやショッピングなどの浪費によるもの
  • 一部の債権者にのみ弁済して債権者間の公平を害するような行為
  • クレジットカードの現金化などの換金行為
  • 債権者に意図的に損害を与えるための借金
  • 裁判所への虚偽の説明、隠匿、偽造など

上述のように、免責不許可事由があっても事情によっては裁量免責が認められることがあるものの、たとえば2回目以降の自己破産が免責不許可事由を繰り返したことによるものであった場合は、再び、免責を認めてもらうことは難しいでしょう。

2度目の自己破産を認めてもらうために

2回目の自己破産を認めてもらうためには、2回目の自己破産が1回目とは異なる新たなやむを得ない事情によるものであること、再び自己破産をしたことを債務者が真摯に反省していることを裁判所に伝えていくことが重要です。

このような努力をしたものの自己破産が認められなかった場合、即時抗告という手段によって、裁判所の決定・命令について不服申し立てをする手段があります。

即時抗告は、裁判所の決定・命令に、より審級が上位の裁判所に再度審査してもらう方法となります。そのため、地方裁判所で免責不許可決定が出た場合、その地裁の管轄の高裁に対して申立をします。

2回目の自己破産は管財事件となる可能性が高い

自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類の手続きがありますが、2回目の自己破産については管財事件となる可能性が高まります

管財事件と同時廃止事件の違いは、管財事件については裁判所によって管財人が選任され、その調査や換価・配当などの手続きを行います

1回目の自己破産については簡便な同時廃止事件となることも多いですが、2回目の自己破産についてはより慎重な調査が必要と判断され、管財事件となる可能性が高まります。管財事件は同時廃止事件に比べると、債務者にとって期間や費用(予納金の納付が必要になる)などの負担は重くなりますので、注意しましょう。

自己破産ができなかった場合

自己破産ができなかった場合に検討すべき他の債務整理方法としては、任意整理と個人再生があります。

任意整理は、裁判所を通さずに債務者と債権者が直接交渉し、借金の減額や分割払いなどについて和解契約を締結することにより、返済の負担を軽減していく方法です。なお、債権者が任意で交渉に応じてくれる必要があります。

個人再生は、自己破産と同様裁判所に申し立てを行う手続きです。個人再生の場合は自己破産と違い借金を全額免除してもらうわけではないですが、裁判所に提出した再生計画が認められれば、原則として借金額を5分の1に減額してもらうことができ、それを3年以内に分割返済していくことになります。

個人再生のメリットとして、住宅ローン特則を利用することにより、マイホームを手放さずに債務整理をしていくことができます。

なお、両制度とも、借金を返済していく義務は残りますので、定期的な収入を得るめどをつけるなど、計画的な返済について考えていく必要があります。

最後に

いかがでしたでしょうか。2度目の自己破産が認められるかについて、認めてもらうための留意点などを含めご説明しました。ご参考になれば幸いです。

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